※この記事を読んでわかること
- 早期償還の仕組みがわかる!
- なぜ不動産クラウドファンディングで早期償還が発生するかがわかる!
- 運用期間の選び方がわかる!
金融・不動産ライターの本多です!
「不動産クラウドファンディングでは早期償還の可能性がある」と聞いて、不安に感じていませんか?
本記事では早期償還の意味から、具体的なメリット・デメリットをお伝えします。
早期償還についてはネガティブなイメージを持っている人も少なくありませんが、一方で投資家に有利な点もあります。
不動産クラウドファンディンを実践する前に、ぜひ本記事で確認してください。
そもそも不動産クラウドファンディングとは?運用期間の違いについて
まずはクラウドファンディングとは何か、また運用期間の長さについて見ていきます。
不動産クラウドファンディングの特徴
不動産クラウドファンディングとは、投資家から集めた資金を利用して、不動産を取得・運営する投資手法です。
通常の不動産投資だと、1つの不動産を丸ごと購入するため多額の資金が必要ですが、不動産クラウドファンディンなら1口1万円の少額から投資できるのがメリットです。
また、運用は不動産クラウドファンディング業者におまかせできるため、投資家は手間がかかりません。
不動産のプロが選んだ優良物件に、手軽に投資できるのが不動産クラウドファンディングの魅力です。
一方で、不動産クラウドファンディングは銀行預金ではなく投資なので、元本や利回りは保証されません。
また、原則途中解約ができない点や投資案件が少なく、応募してもすぐにいっぱいになってしまうなどのデメリットもあるので注意してください。
運用期間には長期と短期がある
不動産クラウドファンディングの運用期間については「長期」と「短期」があります。
短期の運用期間は「3ヶ月から1年ほど」また、長期のものだと「1年以上」や、中には「10年以上」の案件も存在します。
なお「短期だからだめ、長期だからいい」といったことではなく、どちらにしても良し悪しがあることを覚えておいてください。
例えば運用期間が数ヶ月の短期だと、資金が戻ってくるのがはやいため、次の案件が見つかれば再度投資ができます。ただし、新しい案件がすぐに見つかるとは限らないという点は覚えておいてください。
長期運用の場合は、運用期間が長いためその分多くの分配金が貰える可能性があります。
一方で運用期間が長期になると、市況の変化に伴うリスクが短期のものと比較して上がります。
なぜ不動産クラウドファンディングで早期償還が発生する?
不動産クラウドファンディングでは、最初に想定した運用期間と比べて早くに運用が終了することがあります。
不動産クラウドファンディングにおける早期償還とは、投資していた物件が想定運用期間よりも早く売却されファンドが完遂することです。
例えば1年の運用期間が予定されていたところ、6ヶ月で終了となったケースがあげられます。この場合投資家は6ヶ月分の分配金が貰える他、元本の全額が返済されます。
早期償還の具体的なメリット・デメリットについては後ほど解説しますが、想定していた運用期間が短くなればその分得られるリターンは下がります。
一方、運用期間中に拘束されていた資金が戻るため、新たな投資が可能となる点ではプラスです。ただし、次の投資先を見つける手間がかかります。
そのため、投資家によっては「当初の運用期間の方が都合がよい」と考える人も少なくありません。
早期償還の2種類を解説
早期償還には「定時償還」と「任意償還」の2つがあります。ここではその違いを解説するので確認してください。
定時償還とは?
定時償還とは債券の早期償還の1つです。
債券の発行者である不動産クラウドファンディング事業者が、あらかじめ途中の償還日・償還方法・償還額を決めておき、それにより一定割合を償還します。
任意償還とは?
任意償還も債券の早期償還の1つです。債券発行者の意思により、一部もしくは全部を償還します。
なお、任意償還は繰上償還とも呼ばれています。繰上償還には、異論のある投資家が一定期間異議を述べられる「異議申立期間」が設定されているケースも少なくありません。
早期償還のメリット
ここでは早期償還のメリットを具体的に解説します。今後不動産クラウドファンディングに取り組んでいくなら、ぜひ確認してください。
投資資金が早く返済される
早期償還のメリットは早期返済ができる、つまり出資した資金を早く回収できる点です。なお、早期償還で得られるのは運用期間の配当金と投資した資金です。
プロに運用をお任せできる不動産クラウドファンディングは信頼性の高い投資ですが、貸し倒れや返済遅延などのリスクがゼロということではありません。
早期償還なら、本来設定された満期前に返済されるため投資家としては一安心です。
運用期間が短くなれば、想定利回りよりも低くなる点ではマイナスですが、投資家としては「元本割れせず戻ってきた」「少額でも配当が得られた」という点ではプラスです。
投資案件を乗り換えできる
早期償還では、次の投資案件に乗り換えできるのもメリットだといえます。
早期償還された分、また好条件の案件が見つかれば新たな投資先で利益を得られる可能性があります。
とはいえ、いつでもすぐに見つかるわけではありませんので、その点は理解しておきましょう。
早期償還のデメリット
次に早期償還のデメリットをお伝えします。
早期償還は、投資資金を早く回収できるため安心できる点ではメリットでした。一方で、配当金が少ないなどのデメリットがあるため注意が必要です。
配当金を得られない期間が発生する
想定していた運用期間よりも早く返済されるため、早期償還だと配当金が得られない期間が発生するのがデメリットです。
不動産クラウドファンディング事業者としては、不動産市況を考え元本毀損リスクの軽減なども考慮し、早期償還を決定することがあります。
とはいえ、人によっては早期償還が続くとネガティブな気持ちになり「もう2度と不動産クラウドファンディングは使わない」となってしまう人も少なくありません。
配当金が想定していたよりも少なくなる
早期償還だと、配当金が想定より少なくなってしまうのがデメリットです。
例えば、想定していた利回りが12ヶ月で4%だったものが、運用期間が6ヶ月で終わってしまうと、半年分の配当金しか入ってきません。
期待していた配当金より少なくなってしまうため、また別の案件を探すなど、別の計画を立てる必要がでてきます。
なお、不動産クラウドファンディング事業者の選び方にも通じますが、別の案件を探す際は、投資のリスクを回避するポイントとして、次の4点を覚えておいてください。
①利回りが高いからというだけの理由で選ばない
利回りが高い案件の方が利益を期待できるわけですが、安全性を重視するなら高利回りの案件は避けるのが無難です。
例えば商業施設や宿泊施設はマンションと比べて高い利回りが期待できますが、近年の新型コロナウイルスの影響で観光需要が落ち、思うように収益がでない恐れがあります。
一方マンションなどの居住用不動産なら、人が住んでいる限り需要が発生します。そのため、高い利回りだけで選ぶのはNGです。
②できるだけ運用期間が短い案件を選ぶのも1つ
運用期間ができるだけ短い案件を選ぶのも1つです。
例えば運用期間が12ヶ月の短期のものなら、その間にトラブルが起きる可能性は10年間の長期案件と比較して低いでしょう。
さらに運用期間が6ヶ月間の短期であれば、それだけトラブルが起きる可能性は低いと考えられます。
③投資先を分散させる
元本割れリスクを回避するためにも投資先は分散させましょう。投資先が1つだけだと、何かトラブルがあった場合に損失が大きく出てしまいます。
不動産投資に限った話ではありませんが、資産運用をする際は分散投資が重要です。複数の投資先があれば、1つがうまくいかなくても他で損失分をカバーできます。
④過去に元本割れを起こしていないか確認する
「過去に元本割れを起こしていないか」というのも、リスク回避では大事なポイントです。
いくら条件のよい案件であっても、事業者の経営姿勢によっては、資金管理などのトラブルに発展する可能性も十分考えられます。
事業者によっては、過去の元本割れ件数を公式ページなどで明らかにしていることもあるため、確認しておきたいところです。
運用期間(長期・短期)を選ぶポイントは?
長期と短期のどちらの運用期間がよいかは、結局のところ好みの問題といってもよいでしょう。
それぞれにメリット・デメリットがあるからです。下記の特徴を確認してみてください。
■短期運用のメリット
- 次の投資先に乗り換えやすい
- 予想外のトラブルに合う可能性が低いため、元本割れの心配が低い
■短期運用のデメリット
- 投資効率が悪い
- 都度手間がかかる
■長期運用のメリット
- 長期的な収入につながる可能性がある
- 手間がかからない
■長期運用のデメリット
- より魅力的な投資先が見つかっても乗り換えが難しい
- 市場環境などのトラブルにあうリスクがある
短期運用の場合、条件のよい投資先が見つかれば次に乗り換えやすいでしょう。ただし、新たに案件を見つけて投資する手間や効率の面を考えるとマイナスです。
長期運用だと将来的に収入が期待できる半面、途中解約できない不動産クラウドファンディンの場合、魅力的な投資先がみつかったとしても乗り換えが厳しいです。
まとめ
- 早期償還は2種類ある!
- 早期償還は投資資金を早く回収できる点でメリット!
- 早期償還だと配当金を得られない期間がある点はデメリット!
今回は、不動産クラウドファンディングの早期償還について、種類やメリット・デメリットを解説しました。
お伝えしたように、早期償還についてはあからさまに良い悪いは断言できません。
資金がはやく返済される点ではうれしいですが、配当金の金額を考えると素直によろこべないところもあるでしょう。
いずれにしても不動産クラウドファンディングでは、早期償還の可能性があることを理解しておきましょう。
また、不動産クラウドファンディングにはそもそも長期と短期それぞれの運用期間があるとお伝えしました。
お伝えしたメリット・デメリットを参考に、あなたの希望する投資計画に合わせて、後悔のない選択をしましょう。
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