※この記事を読んでわかること
- 住宅ローンの審査基準がわかる!
- 審査に通らない原因がわかる!
- 審査に通過するためのポイントがわかる!
金融・不動産ライターの本多です!
マイホームを購入するにあたり、住宅ローンの申し込みを検討していませんか?
今回の記事では、住宅ローンの具体的な審査基準や、審査に通らない原因、そして通過するためのポイントを詳細にお伝えします。
何も知らずに申し込んでも、審査に落ちてしまう可能性があるので、事前に確認してみてください。
住宅ローン審査の流れ
住宅ローンの審査の流れをお伝えします。事前審査と本審査の違いなど確認してみてください。
①:事前審査(仮審査)
まずは「事前審査」です。住宅ローンの審査には、事前審査と本審査の2種類があります。
事前審査の方は、本審査と比較して簡易的な審査です。そのため結果が出るのもはやいです。(事前審査期間:1日~1週間程度)
事前審査では、申込者に返済能力があるか、借入額に対して返済プランは適切かなどをチェックされます。
②:本審査
「本審査」は、事前審査が終わって不動産売買契約を結ぶタイミングで実施されます。
審査の詳細は後ほどお伝えしますが、本審査では事前審査よりも多くの情報を判断されるため時間もかかります。(本審査期間:2~3週間程度)
なお、事前審査をすでに通過しているからといって、本審査も必ず通過できるわけではないため注意が必要です。
例えば虚偽の申告があった場合などは、本審査で落ちることもあり得ます。比較的審査に通過しやすいといわれるフラット35でも同様です。
③:住宅ローンの契約
本審査に通過したあとは、金融機関と住宅ローンの契約手続き(金銭消費貸借契約)を行います。
なお、金融機関より借入金額や借入年数、適用金利といった重要事項の説明があるので、間違いがないよう慎重に確認してください。
なお、金銭消費貸借契約は、融資実行前の1~2週間前に通常行われます。
④:融資の実行
住宅ローンの締結後、融資実行日(融資金額が口座に振り込まれる日)は、通常不動産の引渡しのタイミングで行われます。
これは、融資実行日に不動産の所有権移転登記(所有権保存登記)と、抵当権設定登記が行われるからです。
住宅ローンを利用する際金融機関は、購入する物件を担保に融資を行います。担保にするためには、事前に抵当権の設定登記がされている必要があります。
住宅ローンの審査で必要な書類
住宅ローンの審査では、複数の書類を用意する必要があります。
金融機関によって求められる書類に多少の違いはありますが、ここでは参考に、三井住友銀行で指定している必要書類を紹介します。
審査種類 | 必要書類 |
---|---|
事前審査 | 運転免許証 or パスポート 住民票謄本 or 在留カード or 特別永住者証明書(対象:外国籍の方) |
本審査 | 住民票謄本 源泉徴収票 or 給与 賞与明細(対象:会社員) 確定申告書(第1表)/ 納税証明書(その1・その2)(対象:確定申告をしている人) 不動産売買契約書 / 重要事項説明書 / 不動産広告チラシ / 工事請負契約書 / 見積書 |
なお、提出書類によっては、お勤め先や不動産会社にあらかじめ請求しておかなくてはいけないものもあるでしょう。スケジュールに余裕を持つため、はやめに準備しておきましょう。
住宅ローンの審査基準の詳細
住宅ローンの審査基準については「令和3年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書 (令和4年 11 月 18 日 訂正)」に記載されています。
以下の表では、多くの金融機関の中で最も多かった「具体的な審査基準」の結果とともに記載しているので確認してみてください。
項目(審査項目に挙げている金融機関の割合) | 具体的な内容 |
---|---|
完済時年齢 (98.9%) | 80歳未満 |
健康状態 (98.5%) | 団体信用生命保険に加入できる |
担保評価 (97.6%) | 対象とする不動産の担保評価 |
借入時年齢 (97.1%) | 70歳未満 |
年収 (95.0%) | 150万円以上 |
返済負担率 (94.6%) | 年収に占めるローン返済額の割合が45%以内 |
勤続年数 (94.5%) | 1年以上 |
連帯保証人 (94.5%) | 系列保証会社の保証が必要 |
金融機関の営業エリア (92.2%) | 金融機関の営業エリア内に居住している |
融資可能額(融資率)①購入の場合 (75.8%) | 物件価格に対する借入額の割合:100% |
雇用形態 (75.6%) | 派遣社員は対象外 |
融資可能額(融資率)②借換えの場合 (71.1%) | 物件価格に対する借入額の割合:200% |
国籍 (68.0%) | 日本国籍・永住許可・特別永住者 |
カードローン等の他の債務の状況や返済履歴 (62.9%) | – |
申込人との取引状況 (44.4%) | – |
業種 (30.1%) | – |
家族構成 (21.9%) | – |
所有資産 (21.0%) | – |
雇用先の規模 (20.8%) | – |
性別 (16.4%) | – |
その他 (6.2%) | – |
「審査項目に挙げている金融機関の割合」を見ると、融資を行う各金融機関では、特に「完済時の年齢(98.9%)」を重視しているのがわかります。
完済時の年齢は80歳未満である必要があります。その他「健康状態」についても、チェックされるポイントです。
人生100年時代といわれる現代ですが、住宅ローンの借入期間は長いです。そのため、年齢や健康が融資を受ける際のキーポイントとなるのは当然だといえます。
住宅ローンの審査で落ちる7つの理由
住宅ローンの審査に通らないのには具体的な理由があります。ここでは、7つのポイントを解説しているので確認してみてください。
①:他のローンと合わせた返済負担率が高い
まず「返済負担率」が高いと住宅ローンの審査で落ちる可能性があります。返済負担率とは、年収に対するローン返済額の割合のことです。
年間の返済額が年収に対して大きいと返済負担率が上がってしまいます。
返済負担率を計算する際は、住宅ローンだけでなく車や教育ローンといった他の借り入れも含まれるため注意が必要です。
そのため、住宅ローンを利用する際は、事前に他の返済を済ませておくとよいでしょう。
難しい場合は、借入額の減額を検討してみたり、金融機関に相談してみたり、といったことも考えてみてください。
②:起業したばかりで収入が安定しない
「収入が不安定」という人も、住宅ローンの審査に落ちてしまう理由の1つです。
例えば、個人事業主として起業したばかりで収入が安定しない、といった場合だと金融機関に良い印象は与えられません。
自営業者が住宅ローンの審査に通過するためには「過去3年にわたる所得が黒字である」や「頭金を増やし融資額を減らす」といった方法が有効です。
③:転職後すぐの審査
転職後すぐに住宅ローンを申し込むと、審査で落ちるリスクが高くなります。というのも、住宅ローンでは「勤続年数」が1つの条件になるからです。
勤続年数の条件については各金融機関で異なりますが、例えば「1年以上」というところもあれば「3年以上必要」というところもあるでしょう。
ただし、転職後すぐに住宅ローンを申し込む場合でも、例えば「キャリアアップにつながる」といった理由であればマイナス評価にはなりません。
転職して年収アップにつながるのであれば、転職先で継続して働いていける可能性が高いからです。
④:購入する物件の担保評価が低い
購入する物件の「担保評価が低い」というのも、住宅ローンの審査で落ちる原因の1つです。担保評価とは、金融機関で融資を受ける際の不動産の担保評価額のことです。
担保評価額も、住宅ローンの審査基準として大きな意味を持っています。
というのも、物件購入者が返済不能となり売却するとなっても、ローンを完済できないような物件だと金融機関にとってはリスクだからです。
担保評価については「旧耐震基準の物件」や「駅から遠すぎる物件」などの評価が低い傾向にあります。
⑤:完済時や借入時の年齢が高い
「借入時や完済時の年齢が高い」というのも、住宅ローンの審査で落ちる理由です。
住宅ローンの完済時の年齢は「80歳未満」、そして借入時の年齢は「70歳未満」としている金融機関が多く見られます。
高齢になると働けなくなる可能性も出てくるため、金融機関としては貸倒れのリスクを回避するためにも年齢を重視しています。
なお、完済時の年齢が80歳未満とはいえ、65歳の定年までには完済できているのが理想です。
というのも、近年老後2,000万円問題が話題に上っていますが、退職したあとに返済の負担が大きいと、老後の生活を圧迫してしまうからです。
他にも、今後は年金の受給開始年齢が上る可能性もあるため、なるべくはやい年齢で完済できるとよいでしょう。
⑥:健康状態に問題がある
「健康に問題」があるため住宅ローンの審査で落ちるケースもあります。というのも、民間の金融機関のほとんどは「団体信用生命保険」への加入を条件としているからです。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済中に契約者が死亡もしくは高度障害状態となった場合、生命保険会社が金融機関に対し残債を支払うものです。
団体信用生命保険に加入する際は、健康状態の告知が必要となります。そのため、条件を満たしていないと団体信用生命保険に加入できません。
もしも健康面で不安がある場合は、団体信用生命保険よりも基準が緩和される「ワイド団信」への加入も検討してみてください。
ただし、取り扱っている金融機関が限られる他、住宅ローン金利に年0.2%~0.3%程度の金利が上乗せされるなどのデメリットもあるので注意が必要です。
⑦:クレジットカードの延滞など個人信用情報に問題がある
「個人信用情報に問題がある」というのも、住宅ローンの審査で落ちてしまう原因の1つです。
住宅ローンの審査では、申込者の信用情報を確認する必要があります。その際に例えばクレジットカードの返済が滞っている、延滞の履歴があるなどの問題があると審査で不利です。
自分では問題がないと思っていても、実は信用情報に傷が付いていたというケースもあるため、心配な場合は事前に確認しておきましょう。
個人信用情報については、開示の手数料がかかってしまいますが、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターで確認できます。
住宅ローンの審査に通過するための4つのポイント
ここでは、住宅ローンの審査に通過するためのポイントを4つお伝えします。審査で落ちないよう、また少しでも有利に進めるためにも確認してみてください。
①:審査基準や内容を理解する
住宅ローンの審査に落ちないためには、事前に審査基準をよく理解しておくことが大切です。年齢や年収、そして健康の問題はないかなどを考え、対策を打つようにしましょう。
なお、自分で審査に通過できないと思っていても、金融機関によっては融資可能と判断するケースもあり得ます。
いずれにしても、金融機関を探す前に自身の現状を把握しておくべきです。審査基準がわからないまま、適当に金融機関を探して申し込んでも良い方向には進みません。
②:提携ローンの利用を考える
住宅ローンの審査を少しでも有利に進めるなら「提携ローン」の利用も検討してみてください。
提携ローンとは、金融機関と不動産会社やハウスメーカーなどが提携して取り扱っている住宅ローンのことです。
提携ローンは一般的なローンと比べ、審査がやや柔軟に行われる傾向にあります。
また「金利が優遇される」や「手続きを不動産会社が代行してくれる」といった点でもメリットです。
ただし「金利タイプや期間を柔軟に指定できない場合がある」また「代行手数料を不動産会社に支払う必要がある」といったデメリットもあるため、その点見極めが必要です。
③:頭金を出し借入額を少なくする
頭金をしっかり用意しておくと、住宅ローンの審査を有利に進めることができます。というのも、金融機関からすると頭金を用意できる人は信用力も高いと判断できるからです。
また頭金を入れることで借入額が減らせます。つまり返済負担率が下がるため、それだけ審査で有利です。なお頭金は通常住宅購入価格の2割が目安だとされます。
頭金0円でも住宅ローンを組むことはできますが、審査通過を考えるなら、計画的に用意しておくべきです。
④:夫婦でペアローンを組む
希望する住宅ローンの借入額が望めない場合は、夫婦で住宅ローンを申し込む「ペアローン」の利用も検討してみてください。
ペアローンとは、夫婦や親子それぞれが契約者となり住宅ローンを借りることです。
自分1人の年収だと融資が受けられない金額でも、ペアローンなら借り入れできる可能性が高くなります。
ただし契約時の手数料が2倍になるなどのデメリットもあるので、計画的に利用しましょう。
住宅ローンの審査に通らないときの対策
ここでは、住宅ローンの審査に通過できないことを考え、事前の対策を2つお伝えします。
①:複数の金融機関で審査を受ける
住宅ローンの審査は、1つの金融機関だけに絞らず複数受けてみてください。というのも、複数受けておけば落ちたときのリスクヘッジになるからです。
住宅ローンの審査は必ず受かるというものではありません。A社で落ちてもB社では受かる可能性もあるので、事前審査・本審査ともに複数受けておく方が安心です。
ただし、本審査では必要となる書類が多く手間もかかるため、10社や20社など明らかに多く申し込むのは現実的ではありません。3社程度を目安に申し込むと良いでしょう。
なお事前審査を受けたくないという場合は、SBI新生銀行のように、本審査のみの住宅ローンを利用してみてもよいでしょう。
②:書類を見直して再度申請する
住宅ローンの審査に通過できないときは、改めて書類を書き直し、再度申請しなおすのも1つです。
とはいえ、一度否決された金融機関で再び申し込んでもまた落ちてしまう可能性が高いので、他の金融機関で申し込むようにしましょう。
なお、再度申し込むときには審査で落ちた理由を考え、条件を整えてから再び申し込むようにしてください。
審査で落ちた理由がまったくわからないような場合は、不動産会社に相談してみるのも1つです。
住宅ローンに関するよくある質問
ここでは、住宅ローンに関するよくある質問にお答えします。実際に申し込む前に確認してみてください。
①:団体信用生命保険に加入できないときはどうする?
団体信用生命保険に加入できないときは、ワイド団信を利用するのも1つですが、そもそも団体信用生命保険への加入が任意となるフラット35を選択してもよいでしょう。
住宅金融支援機構が扱うフラット35では、団体信用生命保険への加入が必須ではないため、健康に不安がある人でもその点気が楽です。
ただし、団体信用生命保険に未加入だと、契約者にもしものことが起きた場合、最悪家を手放すことにもなりかねませんので、その点は注意が必要です。
②:クレジットカードの延滞は住宅ローンの審査に影響する?
クレジットカードの支払いを延滞し信用情報に傷がついてしまうと、5年程度はブラックリストとして扱われてしまいます。
記録が残っている間は、住宅ローンを申し込んでも審査で落ちる可能性が高いです。そのため延滞しているのであれば、5年間は住宅ローンの申し込みを避けるとよいでしょう。
自身の信用情報が回復したのち、改めて申し込むと審査に通過できる可能性が高くなります。
③:フラット35の審査は通過しやすい?
勤続年数や雇用形態が申し込み要件となっていないフラット35は、他の住宅ローンの審査と比較し緩い傾向にあります。
またフラット35では、団体信用生命保険への加入も任意なので、その点も人によっては審査に通りやすいといえるでしょう。
例えば自営業者であっても、フラット35であれば比較的融資を受けやすいです。
とはいえ、フラット35にも事前審査や本審査があります。そこで、例えばクレジットカードや税金の支払い遅延などが判明すると審査で落ちる可能性があります。
とはいえ、審査の通りやすさを考えるなら、フラット35の申し込みを検討してみるのもありです。
④:外国人でも住宅ローンは組める?
外国人であっても住宅ローンを組むことは可能です。ただし、永住権が無ければ住宅ローンが組めない金融機関がほとんどです。
そのため住宅ローンを組むのであれば、先に永住権の取得を検討してみてください。
もしくは配偶者が日本人、それか永住権を持っているといったケースでも、住宅ローンが組める可能性があります。
まとめ
- 完済時の年齢や健康状態は審査の中でも特に重要!
- 頭金を入れる、提携ローンを利用するなど審査通過に有利な方法がある!
- 複数の金融機関で審査を受けるとリスクヘッジになる!
今回は、住宅ローンの審査基準や必要書類、通過するためのポイントなどについて詳しく解説してきました。
審査の基準については、項目が多く難しく感じた箇所もあったかもしれません。とはいえ、何千万円もの融資を受けるわけですから、当然金融機関のチェックは厳しくなります。
頭金を入れる、ペアローンを組むなど、今回お伝えした審査通過のポイントを押さえ、実際に活用してみてください。
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